(コンサートの様子をひとつにまとめました。
はじめに記憶していたつもりで間違っていたものを若干訂正してあります。
もう一曲がどうしてもわかりませんでしたが、その後わからなかった曲名に
ついて教えてくださった方があったので、また若干訂正いたしました。
ほんとにありがとうございました。)
アッコちゃんはにこやかに軽やかに現れて、ピアノにすわった。
ほんの少しの間があって、まず一曲目を歌いだした。
(コンサートの写真撮影は禁止。始まる前のピアノ)
一曲目は「あたしんち」という曲。
言葉の一つ一つが実に鮮明にはっきりと心に届いた。
ピアノの旋律の強弱もリズムも漏れることなくすべてがはっきりと聴こえてくる。
続いて
二曲目を歌う。
雨が上がった朝の光
胸にいっぱい吸い込んだから…~♪~。の曲名がわからなかったが、
その後
「ひとりぼっちはやめた」で
「となりの山田君」の主題歌ではないかと教えていただく。(すっきりしました。有難うございます)
矢野の身体から溢れ出す音楽は心の中で流れを作って
激流となり心を巻き込んでいった。
頭の中に
言葉のひとつひとつは鮮明に刻み込まれ、心は満たされた。
曲の世界がはっきりとわかり、
矢野の奏でるその曲の音楽の世界に入っていけるのだった。
二曲一気に歌い上げると
アッコちゃんはピアノを弾きながら、
「こんばんは 矢野顕子です♪~
オープン前のまだ道路もできていないという
県立美術館のアレコホール、
どんなところかなあ、と楽しみにしてきました。
お茶は出ませんが、
いい音楽でいい一時を~♪」と
こんな感じで語りかけた。
さらに津軽弁で
「なんでこんなに降るんだべの!」と言うと、皆、どっと笑った。
ビアノを絶えず弾いては語りかける、
皆が笑う…そんな風に
客席はアッコちゃんの語りとピアノに幸せに包まれていった。
高さが20mもあるこのアレコホールだが、
音響がすばらしかった。
言葉のひとつひとつ、
ピアノの音のすべてを、はっきりとのびやかに伝えてくれる。
このように澄んで柔らかく音楽が漏れることなく聴こえて来る空間というものを
私はかつて経験したことがないように思う。
この上もない心地良さのなかで
三曲目は
「誰がために」(検索するとすぐにわかります)
という映画での劇中曲をすべて担当した
のだそうで、
その中からの曲であった。
「誰がために」は悲しい悲しいお話なのだそうだが、
矢野顕子の音楽により温かみと温もりを与えてくれている、と
書いてあった。
きっとそうだろうなあと思う。
DVDがでたら、必ず観たいしCDもほしいなあと思う。
そんな風に
コンサートはどんどん進む。
矢野顕子の歌とピアノはどれも本当にすごかった。
音楽の天性の才能を与えられながら、さらにたゆまない努力をして
さらに音楽というものを楽しむことができる
今の矢野顕子を超えるものはいないだろうと思った。
矢野顕子が大好きだし、ものすごいと思っていたけれども、
ここまでものすごいってことはありえないんではないかしら。
でも、ここにありえている…。
どんなことも歌えるしどんなことも音楽になるのだと思った。
が、どんなことも歌える人というのは
本当はそんなにいないものだけれども、
アッコちゃんはそれができるのだ。
四曲目を
「窓」とメモしていた。
どこを探してもこの曲がよくわからなかったのだが、
くるりの
アルバム「図鑑」の中の曲だった!
図鑑
くるり / ビクターエンタテインメント
ISBN : B000AMZ1OS
スコア選択:
空気が薄いのか水かさが増したのか
こんなに苦しいのは初めてです
.
.
僕らは何にもしない♪~
そうだそうだくるりの曲だ!!
アッコちゃんの歌とピアノのすごさを思い出す。
そして
五曲目も
くるり岸田繁の曲で
「青い空」くるりのアルバム『図鑑』の中の曲だと思う。
矢野顕子はどんな曲も矢野顕子の曲になってしまうのであるが、
原曲の良さもあらためて思うのだ。
「青い空」
とぼけるなよ
止まって見えるのは気のせいさ
守るものはここには何一つないさ
伸ばした髪は僕の目や耳を塞いでいる
こんな事は云いたくないのさ
腰を上げな、わからず屋
全てを破れ
屋根で空が見えないだけ
その汗ばんだ肌からは出逢った頃の匂い
こんなことは云いたくないのさ
何かが違うと考える頭は真っ白に
青い空は遠くなってゆく
あらたの言葉やぬくもりを思い出したら
夕凪が言葉も云わず暮れてゆく
僕は今日も変わりなく何かのために生きている
こんな事は云いたくないのさ
何かが違うと考える頭は真っ白に
曲の合間に
アッコちゃんはたくさんお話をしてくれたのだが、
とても面白かった。
自分の曲の自慢として
食べ物に関する歌については世界一だと思うって言っていて
うんうん、とうなずく。
いろんなことを歌っているのだが、
その中でも次の「Money Song」もおもしろくて好きな曲だ。
六曲目「Money Song」アルバム「reverb」の中の曲。
そして、
七曲目は
「ニットキャップマン」と続く。
この曲も何度聴いても泣けてくるんだけど、
この日の矢野の声はどこまでもはっきりと
シチュエーションが伝わってきて、
テトラポットの途切れるところで
フジオさんが死んでいた…。ということが
はっきり情景で浮かんでくるのだった。
糸井重里氏の詩であるが、
この曲を歌い終えると、
アッコちゃんは、
新潟で行ったコンサートの話をしたのだが、
自分のことをまったく知らないおっちゃんとかが
長靴なんかはいて聴きにきたんだけれど、
この曲を、うんうんと首を振ってじんとしながら
聴いてくれたりして嬉しかった話などをしてくれた。
そうして、たぶん自分のことをそんなに知らないなあと
思う人がコンサートに足を運んでくれているかもしれないと
思う時の選曲を振り返ると、
なぜか糸井重里の詩の曲を多く選んでいる、という事実…があるんだそうだ。
ということで
八曲目が
「ふりむけばカエル」カエルに言われちゃしょうがない~♪、っていうフレーズを
歌っていたことを友人がおしえてくれて思い出せた。
カエルに言われちゃしょうがない。
個人的にカエルにはさまざまな思い出があるんだけど、
カエルに言われちゃしょうがない~♪
カエルに言われちゃしょうがない~♪。
面白いなあ。
矢野顕子という人は
本当に他の人の曲に新たな命を吹き込んでしまうというか、
実に、いい曲をたくさんたくさん歌っている。
矢野のオリジナルもさることながら、
他の人の曲の魅力を引き出してさらに磨きをかけていく人だと思う。
詩をさらにかみしめながら、
何度も何度ももまた聴きたくなるのだ。
九曲目は
くるりとのコラボレーションアルバム
「ホントのきもち」の中の曲。
ホントのきもち
矢野顕子 岸田繁 / ヤマハミュージックコミュニケーションズ
ISBN : B0002V02FA
スコア選択:
「 NightTrainHome 」だったのだが、
その曲のシチュエーションについて、
アッコちゃんは長い長い語りをした。
ピアノ弾きながら…。
それについては
コラムニストの山田スイッチさんがものすごく的確に
面白く書いているのでぜひ読んでください。
矢野顕子出前コンサートin青森
ちなみに参考までに
黒磯駅情報を…。
「黒磯駅乗り換え解説」
「NightTrainHome 」
小窓の外終わる世界
雪が降ってくる
大人のようにカーテンの中
夢を広げてる
ナイトトレインホーム
シチュエーションが本当に目に浮かんでくる。
自分も寝台列車に乗っていて
夜の流れる景色をみたりしているようだった。
歌い終えて、
曲のうねりの中を自分も旅をしていたから、
感無量になる…。
そして、
十曲目が
「ラーメン食べたい」をやってくれた。
ラーメン食べたい!
一人で食べたい!
うまいの食べたい!
.
.
.
男もつらいけど、
女もつらいのよ。
アッコちゃんのライブを聴いて
そして、この「ラーメン食べたい」を聴いて、
帰りにラーメンを食べて帰ることが、
長年の夢であった。
とうとうその夢がかなったのだ………。
もう、何も言うことはない。
ただ、帰りの時間の電車の時間が押していたので、
5分で食べないといけないという厳しい状態ではあったが…。
この後、
来年二月に発売の新シングルのことや、
CDとDVDもセットで発売されるなどのニュースについて話し、
十一曲目は
新曲
「プレスト」を歌いあげる。
十二曲目が
「Nobuko」と言う曲。
やはりアルバム「ホントの気持ち」の中からの曲…。
十三曲目は
「ひとつだけ」
昔から何度も聴いた曲だが、
ここアレコで聴く「ひとつだけ」、
そして、目の前で歌う矢野顕子の「ひとつだけ」。
どの曲も全身全霊でいながら、
伸びやかで生き生きとしていて、表現力が
はんばではなかった。
終わってほしくなかったが、
この曲が一応最後となり、
開催して呼んでくれてありがとう、って言って、
かろやかに
アッコちゃんは舞台から去っていった。
そして、アンコール!
拍手の波。
やがて、にこやかな笑顔を満面に浮かべて、
アッコちゃんはまた軽やかに現れると
アンコールに応えてくれた。
十四曲目は
とうとう
「ご飯ができたよ」であった。
圧巻であった。
朗々とそして、やさしく、
感無量であった。
心の中で一緒に歌ったよ。
最後の曲は
「グリィーンティファーム」という曲。
上原ひろみさんというジャズピアニストの方の曲なのだそうだ。
これもいい歌だった。
全部歌い終わるとピアノの椅子から立ち上がって客席に向かって
何度もお辞儀をしたり両手を柔らかに上げてお辞儀をし、
客席からむかって左の席を軽やかに帰っていった。
後姿のアッコちゃんは後姿のままで腕を鳥のようにひらひらさせて
軽やかに振り向かずに帰っていった…。